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cssで設定する角度にまつわるお話

cssで角度を設定する機会というのはそれほど多くはないですが、
設定する際に、「どの向きだったっけ」「回転方向ってどっち回りっだったけ」と思ったことは一度ではないと思います。
そんなCSSで角度を使用にまつわる内容を見ていきたいと思います。

CSSで使える角度の単位

CSSで使用できる角度の単位は4つ存在します。(2023/03/13現在)
馴染みの深いものから、いつから使えたのかわからないものまで存在し、さまざまな設定方法が存在します。
現在、CSSとして使用できる角度の単位は下記の通りです。

  • deg
  • grad
  • rad
  • turn

deg

deg は英語で degree の略称で、日本では一般的に使われている、度数法表記の単位になります。
1周を 360° で表し、 直角を 90° と表現します。
一番馴染みのある角度単位ではないでしょうか。

grad

grad は英語で gradian(グラード) の略称で、世界的にあまり普及してはいませんが、
歴史は古く、18世紀末に角度も10進法にしようとした試みの中で生まれた単位になります。
1周を 400g で表し、直角は 100g と表します。
10進法は馴染み深いので、割と分かりやすいのかなと思います。
グラード (単位)

rad

rad は英語で radian(ラジアン) の略称で、国際単位系における角度の単位として使われ、物理の分野でよく使用される単位になります。
1周を 2π で表し、 直角は π/2 rad と表現します。
ラジアン

turn

turn は回転数で表した単位になります。
1周を 1turn で表し、 直角は 0.25turn と表現します。

角度を使用することができるCSS関数

CSSプロパティの値として直接使えるのは rotate ぐらいのものですが、
値にCSS関数を利用した場合、角度を必要とするもしくは角度の設定をすることができるものは意外なほど多く存在します。

座標変換関数

rotate()
単位付きの引数を一つ取り、要素は設定された角度が正の数の時に時計回りに回ります。
rotate3d()
引数を4つ取り、第4引数に単位付きの値を設定します。
第1引数から第3引数で求められる回転軸の正方向を手前に向けた時、設定された角度が正の数の時に時計回りに回ります。
rotateX()
単位付きの引数を一つ取り、要素はx軸の正方向を手前に向けた時、設定された角度が正の数の時に時計回りに回ります。
rotateY()
単位付きの引数を一つ取り、要素はy軸の正方向を手前に向けた時、設定された角度が正の数の時に時計回りに回ります。
rotateZ()
単位付きの引数を一つ取り、要素はz軸の正方向を手前に向けた時、設定された角度が正の数の時に時計回りに回ります。
rotete() と同じ動きになります。
skew()
単位付きの引数を最大2つ取り、第1引数はX軸方向に対して変形し、第2引数はY軸方向に対して変形します。
第1引数に正の数を設定した場合、反時計回りに要素は傾いていきます。
第2引数も同様に正の数を設定した場合、反時計回りに要素は傾いていきます。
括弧内の設定値の合計が ±(270n + 90) になった場合、要素は見えなくなってしまします。(cos90° or cos270°) == 0 の為
注:JSでMath.cos(Math.PI/2)を求めた際には丸め誤差の問題もあり0になはりません。 変形の仕組みに関してはこちらからご確認ください
フーノぺーじ transform:skewの仕組みを理解する。
skewX()
skew() の第2引数に0を設定した変形と同じになります。
skewY()
skew() の第1引数に0を設定した変形と同じになります。

web要素における座標軸について

ブラウザには縦方向・横方向が当然のことながら存在し、奥行きも表現できることから、3軸が存在します。
横方向をx軸(赤色)とし、x軸は左から右向きを正の向き
縦方向をy軸(緑色)とし、y軸は上から下向きを正の向き
奥行きをz軸(青色)とし、z軸は奥から手前向きを正の向き
となります。
この時の軸の考え方は左手系になります。
zenn @boiledorange73 右手系と左手系が違うと何が問題か

各要素は回転軸を持ち初期設定ではx軸・y軸は要素の中心を通り、
z軸はx、y軸どちらに対しても直交した位置になります。
軸の位置は transform-origin で設定を変更できます。
注: 要素はinline要素でないことが前提です。inline要素の場合、transformプロパティは効果を発揮しません。

inline要素以外

数学関数

calc()
値の計算ができます。
しかしながら角度の単位に関しては、角度単位同士でしか加算、減算はできなく、
乗算・除算・剰余は数(数値)でしかできません。
clamp()
引数を3つ取り、最小値、推奨値、最大値の中から当てはまる値を取得できます。
角度を使用して数値を取得する際は全ての引数で角度単位を使用する必要があります。
違う単位が混ざっている場合は動作しません。
注:Safari(Mac,iOS,iPadOS)ではブラウザ幅の可変時ににおける値の反映がブラウザの仕様上動作しないことがあります。
max()
引数の中から最大値のものを取ります。
角度で使用する場合には引数は全て角度の単位の値である必要があります。
min()
引数の中から最小値のものを取ります。
角度で使用する場合には引数は全て角度の単位の値である必要があります。
sin()
引数には角度の単位を持った値 もしくは 数値を1つ引数として取ります。
角度の単位はそのままの値として使用しますが、数値を指定した場合はラジアンとして解釈されます。
正弦定理の値を算出し値は -1 ~ 1 を表します。
cos()
引数については sin() と同じになります。
余弦定理の値を算出し値は -1 ~ 1 を表します。
tan()
引数については sin() と同じになります。
正接定理の値を算出し値は −∞ ~ +∞ を表します。

数学関数(引数に角度単位の数値ではなく返り値が角度単位となるもの)

asin()
引数は1つの数値のみを取ります。設定できる数値は -1 ~ 1 の間になります。
取得できる値は -90deg ~ 90deg の間になります。
acos()
引数については asin() と同じになります。
取得できる値は 0deg ~ 180deg の間になります。
atan()
引数は1つの数値のみを取ります。設定できる数値は −∞ ~ +∞ の間になります。
取得できる値は -90deg ~ 90deg の間になります。
atan2()
引数は2つ取ることができますが、どちらも同じ単位である必要があり、使用できる値は数、距離(長さ)、%になります。
取得できる値は引数を座標とした際のx軸との角度を取得でき 0° ~ 360° になります。

フィルター関数・色関数

hue-rotate()
角度単位の引数を与えることで、色相環上のカラーコードを取得できます。
hsl()
引数を3つ取り、第1引数に角度単位の数値を設定します。
第1引数で指定した色相環の位置を、第2、3引数によって明度・彩度を変更したカラーコードを取得できます。
第2引数、第3引数ともに設定できる数値は % になります。
hsla()
hsl() に第4引数として不透明度を加えたものになります。
第4引数に設定できる値は % もしくは 数 になります。
hwb()
引数を3つもしくは4つ取ることができ、第1引数に角度単位の数値を設定します。
第1引数は色相環、第2引数は白色度、第3引数は黒色度をとり、第2、3引数に設定できる値は % になります。
第4引数に設定する値は不透明度で、設定できる値は % もしくは 数 になります。こちらを設定する際には第3引数と第4引数とを / で区切る必要があります。

色相環

中心から12時の方向を 0° とし、360°での色の背景体系を表したものが色相環になります。
hue は 色相を表し、色関数の先頭の「h」は hue の h を表しています。なので、第1引数は角度単位の数値が設定値として指定されています。

画像関数

conic-gradient()
要素の中央から円状にグラデーションを描くための関数になります。
角度指定は色の切り替わりが円状のどこまでなのかを指定するために使用します。
使用方法はMDNの解説をご覧ください。
MDN conic-gradient()
linear-gradient()
第1引数に方向を指定しますが、角度単位の数値 もしくは キーワード(left, rightなど) を取ります。
角度単位を指定したときは、0° == 下から上への向き を表し、第2引数がスタートの色で後に続く引数がグラデーションの色となります。
詳しい設定方法はMDNの解説をご覧ください。
MDN linear-gradient()
repeating-linear-gradiant()
linear-gradient() と同じ引数を取ります。background-size, repeatを使用することなく、背景をパターンで埋めることができます。
詳しい設定方法はMDNの解説をご覧ください。
MDN repeating-linear-gradiant()

よくある使い方

rotate関数

「web要素における座標軸について」で図を作成していますが、その矢印なんかは際たる例ではないかなと思います。
他にも、こういったもので言うならばアコーディオンの開閉に使う十字のアイコンだったり、下向き三角だったりのアニメーション、
もっと使うもので言えば、ハンバーガーメニューのクリック時のアイコンなんかはアニメーションさせるのによく使うのではないかと思います。
実際矢印(>)みたいなアイコンは一つ作っておいて、いろいろなところで使い回し、
場所に合わせて回転させることで、四方を表現するのではないかと思います。

skew関数

背景色をセクションごとに切り替える際に、通常であれば矩形(すべての角が直角の、四辺形。長方形)で表現される所を、
斜めに切り取った形(背景)を連続させることで、下への流れを表現したり、速さを表現したりすることができるようになっているかと思います。
実装方法としては外側をskewYで傾けて、直下の要素をskewYで逆に同じ角度だけ傾けると背景を斜めに切り取った形になり、
中のコンテンツは変形されていない形で表示されている状態にすることができます。
単色の背景色を指定する場合は外側の要素に指定するだけで問題ありませんが、
背景に画像を使用する場合は、画像を直下の要素で表示し、外側の要素に overflow を指定する必要があります。

テキストテキストテキスト
テキストテキストテキスト
テキストテキストテキスト
テキストテキストテキスト
テキストテキストテキスト

conic-gradient関数

正方形の要素の背景として使うことで円グラフのように表示ができたり、
円周による進捗バーを表現したりができるようになります。

linear-gradient関数

この関数ではグラデーションをするだけでなく、色を切り替えるようにして表現することもできます。
このことを使って、市松模様だったり、千鳥格子までできたりします。
柄の生成についてはいろいろなジェネレーターがあるのでそちらから試してみてください。
Google 「linear-gradient generator」で検索

まとめ

角度に関するCSSの内容を書きましたが、調べていくうちに「知らなかった」「こうやって使うんだ」と言う学びがありました。
実際業務で使うことはあまりないようなものが多いですが、表現として知っておいた方が幅が出る内容ばかりの関数だったと思います。
iOS の safari に css の三角関数が入ってきたのはつい最近なので、どんな表現ができるのかはこれからだと思いますが、
今までできなかったことができるようになることは間違いありません。
ここに載っていない関数があるので、また何か機会があれば掘り下げていきたいと思います。

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